研究論文が掲載されました
- kinugasa0
- 2023年12月20日
- 読了時間: 2分
この度、拙稿が『同志社社会福祉学』第37号に掲載されました。 この論文は、予てからの私の持論である「自己決定批判」を軸として、それに変わる代案を私自身の実践の中から抽出した「間主観性」という概念に求めつつ、現象学の知見を援用して、従来より「管理と排除の社会的装置」として機能してきた一面を持つソーシャルワークの限界を、弁証法的に止揚しつつ新たな論理的可能性を追究しようとしたものです。 とくにその可能性のあり方を「人格」のあり方に求め、既存のカント的理性に基づく「道徳的人格」の能力主義的側面を喝破しながら、「排除され、管理されてきた」非道徳とされてきた人たちをも包摂する、共同態のあり方を提案する内容となっています。
私は初期現象学者であるマックス・シェーラーに大きな影響を受けていますが、本論文はその内容をほとんど初めて明らかにし、恐らく我が国のソーシャルワークにおいて現象学の知見を本格的に援用した、初めての論文になっていると思います。 「実践の中にある暗黙知・経験知」を論理化しつつ、それをソーシャルワークの新たな可能性として鼎立しようとした本論文は、その先駆性において評価されるものと確信しております。 これは、学位を取るためや、依頼原稿ではなく、本当に久しぶりに、私が「書きたい」と思った書いた、主体的な論文です。誰に頼まれたわけでもないのですが、自分自身の旗べき業として、この論文を書いているときには没頭してしあわせな時間を過ごしました。 まだまだ完成度に何はありますが、ご関心のある向きは、是非手にとっていただいて、ご批判いただければ幸甚に存じます。 最後に、本論文の掲載に際しては、編集部の先生から本当に丁寧な査読をいただきました。それは全国学会誌と比べても消して引けを取らない、高度な論理的指摘でした。そのような本格的な査読をいただいたことを、最後に深く感謝したいと思います。

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